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われは思ふ、末世の邪宗、切支丹でうすの魔法。
黒船の加比丹(かぴたん)を、紅毛の不可思議国を、
色赤きびいどろを、匂鋭(と)きあんじゃべいいる、
南蛮の桟留縞(さんとめじま)を、はた、阿刺吉(あらき)、珍陀(ちんた)の酒を。
目見(まみ)青きドミニカびとは陀羅尼(だらに)誦(ず)し夢にも語る、
禁制の宗門神を、あるはまた、血に染む聖磔(くるす)、
芥子粒を林檎のごとく見すといふ欺罔(けれん)の器(うつは)、
波羅葦僧(はらいそ)の空をも覗(のぞ)く伸び縮む奇なる眼鏡を。
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いざさらばわれらに賜へ、幻惑の伴天連(ばてれん)尊者、
百年(ももとせ)を刹那に縮め、血の磔(はりき)背にし死すとも
惜しからじ、願ふは極秘、かの奇しき紅(くれなゐ)の夢、
善主麿(ぜんすまろ)、今日を祈りに身も霊(たま)も薫りこがるる。
北原白秋、「邪宗門」より、邪宗門秘曲
エリスマン邸
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