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横浜山手には今も多くの古い西洋館がある。それぞれの西洋館は今も、そこに暮らす人々の家庭を生活を包み込み、いくつかの古い教会堂は今も、祈りを捧げる人々を信仰を守っている。
しかしここに写し取られた西洋館は、すでに包み込むべき家庭や生活を失い、過ぎ去った時代の証として保存され、新たな用途を与えられたものたちであり、古い建物を模して建てられたが、人が暮らすためではなくお店としてのものなどである。
一つ一つの建物をゆっくりと訪ね歩いて過ぎた時間に思いを馳せてみた。窓から差し込む光の陰に、窓に映る灯(あか)りに過ぎ去った時間の断片を垣間見ることがあった。そんな時、狂おしく切ない気持ちになるのはなぜだろう。
エリスマン邸、イギリス館、山手111番館、山手234番館、ブラフ18番館、外交官の家、ベーリックホール、山手資料館、えの木てい、山手十番館。数奇な運命をたどった西洋館たちは、今こんな名で呼ばれている。