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7,どのようにして決まるヤマアジサイの花の色

左右どちらの写真も品種はミカタヤエ
上の写真を見比べてみて下さい。品種はどちらもミカタヤエ(美方八重)です。ミカタヤエは、究極の青色品種と言う人がいる位美しい青色の花を咲かせます。しかし栽培条件によってはピンクに咲かせることもできます。
どう咲かせるかは作る人の好みですがなぜこのようなことが可能なのでしょうか。バラやパンジーでは、これほど花の色がちがったら別品種でしょう。大変不思議な現象といえます。
この謎を解きたいといろいろ当たってみたのですが、残念ながらヤマアジサイについて研究したものを探し出すことができませんでした。研究はすべてアジサイ(ガクアジサイ系の品種)が使われているようです。しかし、ヤマアジサイはガクアジサイの近縁種であり、花の色は同じように調節されていると考えて良いと思います。
バラやパンジーの花の色は、遺伝的に決定されているので栽培条件が多少違っても変化しません。アジサイの花の色は、遺伝プラス環境条件で決定されるので、同じ株でも土や肥料のちがいが花の色に影響するのです。
今では、アジサイの花を青く、あるいは、赤やピンクに咲かせる栽培条件が解明され、鮮やかな青やピンクのアジサイが花屋さんに並んでいます。
しかし、アジサイの花の中で何が起きているのかはわかっていませんでした。それが最先端の技術を使って少しずつ解き明かされてきました。
名古屋大学大学院の近藤忠雄、吉田久美両氏の研究からアジサイ関連の部分を紹介してみましょう。なお本来はもとの論文を読むべきですが私には、そんな力もないのでweb上にあった二つを読んでまとめたものです。
*文末参照。
a,アジサイの花の色は2層目の細胞の色
装飾花のガク片の切り口を拡大してみると表面から2層目の細胞だけ着色している。表面や中心部の細胞は着色していない。さらに拡大してみると細胞内の「液胞」という袋状の構造だけが着色している。この細胞の液胞は大きく、ほとんど細胞全体を占めている。私たちは、液胞の色を花の色として見ている。
b,アジサイの花の色素は花色に関係なく同じ
アジサイの花の液胞に含まれる色素は、アントシアニンです。アントシアニンには多くの種類があります。しかし、赤いアジサイも青いアジサイも、含まれるアントシアニンの種類は全く同じで「デルフィニジン3-グルコシド」です。その濃度にも差は無い。
c,アジサイの花の色がちがうと、液胞のpHが異なる
液胞のpHを一つ一つ直接測定した。青花はpH3.9(4.1)、赤花はpH3.2(3.3)で有意さ有り。しかし青、赤とも酸性の範囲。( )内はbbsの数値。
d,アジサイの花の色がちがうと、液胞の助色素類、アルミニウム濃度に差
液胞には、3種の助色素類が含まれる。キナ酸の5位エステル類2種と3位エステル類1種。
青色細胞:5位エステル類が多量、3位エステル類少量。アルミニウム多量。
赤色細胞:5位エステル類が少量、3位エステル類多量。アルミニウム少量。
e,青いアジサイはアントシアニンのアルミニウム錯体を形成する
アントシアニンの発色団である母核、アントシアニジンの構造は、pHに応じて変化する。
試験管の中でアントシアニジンは、
強酸性でフラビリウムイオン型となり赤色、
中性域でアンヒドロ塩基型となり紫色、
アルカリ性でアンヒドロ塩基アニオン型となり青色、
を発色する。細胞内は弱酸性のためこの理屈だけでは青い花にはならない。
アジサイでは、アルミニウムイオンと助色素類がアントシアニジンと相互作用を起こし、アンヒドロ塩基アニオン型のアントシアニジンを安定にたもち青色が発現する。
この時アントシアニジンは、「溶液中でしか存在し得ない弱い分子間相互作用でできたアルミニウム錯体」を形成しアンヒドロ塩基アニオン型を安定させる。
*アンヒドロ塩基アニオン型を安定させる方法は、他に2通り有り、植物によって異なった方法で青い花を作っている。詳しくは文末のサイト参照。
f,試験管内で発色の再現
・アントシアニン:デルフィニジン3-グルコシド定量、助色素の5位エステル類が多量、3位エステル類少量。アルミニウムイオン多量。pH4.0・・・青色を発色
・アントシアニン:デルフィニジン3-グルコシド定量、助色素の5位エステル類が少量、3位エステル類多量。アルミニウムイオン少量。pH3.0・・・赤色を発色
・青色発色の条件でpH3.0にすると紫色を発色した。このようにアジサイでは、わずかな条件の変化で花の色が連続的に変わっていくものと思われる。
・アントシアニンの種類は同じでも助色素、アルミニウムイオンの助けで、pH3〜4という酸性域で赤色、紫色、青色を発現する。
*紫色のガク片(ハナビラ)断面を観察すると表面から2層目の細胞は、紫色だけでなく赤色や青色に近い発色のものも混ざって並んでいることが多い。発色に関係する各成分の相互作用は、微妙なバランスの上に成り立っているた、めわずかな条件の変化が色の変化につながる。
g,土壌とアジサイの体内で起こることを考察してみました
酸性土壌→土壌成分のアルミニウムのイオン化促進→
アルミニウムイオンが水に溶ける→アジサイがアルミニウムイオンを吸収する→
アルミニウムイオンが装飾花の細胞へ運ばれる→
アルミニウムイオンが遺伝子に作用(未解明)→
助色素5位エステル類の合成促進、3位エステル類の合成抑制→助色素およびアルミニウムイオンが液胞へ運ばれる→
液胞のpH上昇→アントシアニン、助色素、アルミニウムイオンの相互作用→
アントシアニンのアルミニウム錯体形成促進→青色の発色
h,未解明のこと
・アンモニア・硝酸等の窒素、リン酸、カリなど肥料の成分がどのようにしてアジサイの花の色に影響を与えているのかも興味ある問題ですが未解明のようです。
・ヤマアジサイでは、白い花がしだいに赤くなる品種(ベニガク、クレナイなど)がある。此花で起きている色素合成。
・土の影響を受けないと云われているヤマアジサイ桃色品種の色素合成。モモイロヤマアジサイ、モモバナヤマアジサイなど。
・ヤマアジサイで発見の多い虹色の花の発現機構。虹、大虹など。
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尚詳しくは次のページをご覧下さい。
1.「アジサイやアサガオの色はなぜ変わるのか
-アントシアニンの化学と生物機能-」近藤忠雄、吉田久美
http://www.human.nagoya-u.ac.jp/lab/yoshida/gendaikagaku01.htm
このページは次の論文の抜粋です。
「近藤忠雄、吉田久美「アサガオやアジサイの色はなぜ変わるのか?」、
現代化学、No376, 25-31 (2002)」
2.紫陽花の花色 投稿者:yoshi 投稿日: 3月17日(水)16時35分0秒
アジサイの花の色はどうして変わるのか(抄録)
−植物における液胞の機能−
http://8327.teacup.com/oyoyoy/bbs
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品種は左右ともミドリボシテマリ |